光軸調整

2014年9月28日 (日)

RH-200のスケアリング調整方法

RH-200のスケアリング調整を行いましたので,ご使用いただいているお客さま
への情報提供や私自身の備忘録も兼ねて紹介します。

スケアリング調整はフォーカスモードで行う事は先に紹介しましたが
その場合,モニター4隅の画像がCCDのどこに対比するかを調べると便利です。
当然ですが,互いの位置関係は冷却CCDカメラの回転などで変わるので
それを明確にしてから調整しないと,やみくもな作業となるので大変です。

B14_09_281


対比を確認する方法は他にもあると思いますが,私は写真のように四箇所に
1~4個の穴を開けた厚紙をフィルター部に入れて撮影します。
そうすると以下のような画像が得られので
モニターの特定のコーナーに対するスケアリング調整箇所が解ります。

厚紙は,第一,第二,第三,第四象限の順に,3,2,1,4個の穴ですが
モニター上では同順に,4,3,2,1個が写っています。

つまり,モニターの第一象限(右上)は4個写っているので
CCDカメラ側は4個の穴がある第四象限(右下)と対比していることになります。

実際の調整は各コーナーに設置された4対の押しネジと引きネジで行いますが
押しネジはロック用なので,調整作業は引きネジだけで行えます。
光軸調整同様にスプリングで押されているので調整は容易です。
(黄色い○で囲んだもので,大きい方が引きネジ,小さい方はロック用の押しネジ)

B14_09_282

下の写真は,この方法で調整した結果で上段が写野中央,下段が左下です。
(画像は4,096*4,096Pixelの内,1200*800Pixel切り出したPixel等倍で
STX-16803のL画像(ノーフィルター),処理は行っていません)

昨夜は時間の都合で全てのコーナーで最良の調整はできなかったので
RH-200の性能が伺えるよう,一番良好なコーナーをアップしました。


B14_09_283


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2010年9月14日 (火)

GS-200RCの光軸調整 その4

100914


・Atik-383L+ -15度C,10分露出の6枚コンポジット,ダーク,フラット補正なし
・KASAI GS-200RC,バーダーHαフィルター(7nm)
・MXⅡ赤道儀,Atik-16ICでオフアキシスガイド


昨日までの調査で,GS-200RCの周辺星像悪化の原因は
ドローチューブ繰り出し部の傾きと光軸のズレであることまではわかったので
それぞれの調整後の確認を行いました。

光軸調整は副鏡のセンターマークも完全に同心円になるように
主鏡と副鏡で追い込んでいましたが
実際に恒星を見ると焦点像の明るい点が大きくずれていて全くダメです。

明らかに副鏡が合ってない症状なので恒星像で再調整したところ
副鏡のセンターマークは元の位置(光軸調整その2の位置)に戻ってしまいました。
やはり代理店推奨のとおりこのマークは無視したほうが良いみたいです。


今夜は霞が酷く2等星も良く見えないほどでしたが
調整後の星像確認のため撮影してみました。
まだ完璧とは言えませんがほぼ満足のゆく星像に近づいたみたいです。

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光軸調整とは関係ありませんが
今回の写りは9月3日のTOA-150の写りには全く及ばないようです。
TOAは露出時間が半分ですがずっと濃く写っています。
空の状態も似たような状況だったので
わざわざGSで散光星雲を撮ることもないようですね。

撮影後さらに光軸を追い込みたかったのですがシーイングが悪く
300倍の倍率では焦点像が見にくいので今夜は止めました。

シーイングは悪かったのですが,300倍でもジフラクションリングが
見えるのでGS-200RCは基本性能が高いことは間違いないと思います。
反射式全てに言えることですが
十分に性能を引き出すためにはそれなりの調整や手を入れることは必要です。
数時間の調整で方向性が見えてきたので
後は少しずつ追い込めばさらに素晴らしい星像を見せてくれそうです。

なお私のカメラの重量ではクレイフォード接眼部への不安は全くありません。
この写真のようにピントのロックも取り外しています。

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2010年9月12日 (日)

GS-200RCの光軸調整 その3

B10_09_12
先日からGS-200RCの光軸調整を行っていますが
例の副鏡センターマークの調査中に
ドローチューブ繰り出し部が傾いていることに気づきました。

写真の状態で銀色の大きなローレットナット部より上の接眼部を回転させると
繰り出し部(2インチスリーブ部)は130μm程度傾いていました。
角度では0.13度になります。
もちろん繰り出されない固定部は無視できる(10μm以下)レベルです。

フォーサーズの画角ではこの130μmがそのまま影響するわけではありませんが
F8でも影響するレベルです。

B10_09_121
傾きの方向から原因がドローチューブを保持する
リニアベアリング部にあることは容易にわかったので
レールやリニアベアリングの保持を調整し10μm程度の傾きまで追い込みました。

こうやって1つずつ解決してして行けばやがて素晴らしい星像を得られるでしょうね。

今回は傾きを調整するためにダイヤルゲージを付けていますが
100μmも傾いていると見ただけでもわかります。
ドローチューブを全部繰り入れた状態で固定部との間隙が均等になりませんので
四隅の星像が均一にならない方は一度点検されることをお勧めします。

ちなみに2インチスリーブ部もそのままでは遊びが大きいのですが
100μmはそのレベルより遙かに大きい傾きです。

B10_09_122
このドローチューブは写真のレール部のみで保持されていますが
ガタの少ない優れた構造です。

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副鏡のセンターリングマークが同心円にならない件と
今回のドローチューブ傾きの関連性はわかりませんが
今回の調整後,主鏡(接眼部も一体)と副鏡の光軸を互い調整すれば
副鏡のセンターも合う点が見つかりました。
入荷時の状態と比べると主鏡も副鏡も大きく動かすことになりますが
晴れたら実際の星像で確認してみます。
もしかするとこの調整が正しいのかもしれません。

それから,良く考えてみると主鏡の調整で接眼部も一緒に動くのは
GS-200RCに限ったことでないですね。
一般的なカセグレン式はみんな同じ?かもしれませんが
主鏡の調整で接眼部も動くと,接眼部と副鏡の相対関係も動くので
調整は厄介ですね。

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2010年9月11日 (土)

GS-200RC光軸調整 その2

B10_09_11
昨日,主鏡や副鏡が同心円になるように主鏡の光軸調整を行い
その後のテスト撮影ではかなり改善されましたが
眼視で恒星像を観察するとまだまだずれていました。

そこで,恒星像を観察しながら
(焦点外(内)像で主鏡を,焦点像で副鏡を)調整しました。

ほぼ満足行くところまで調整できたのですが
どう調整しても焦点付近の星像がやや伸びているので
副鏡センターマークのことが気になります。
副鏡は球面でないのでやはりセンターリングは必要と思うし
当然中心にマーキングされているでしょう。
ただ,構造上副鏡のセンターリングはできないようなので
一度分解してみたいと思ってます。

写真は恒星像を観察しながら主,副鏡を合わせた状態です。
カメラ位置の影響で同心円から少しずれていますが
センターリングアイピースでは副鏡のセンターマーク以外は同心円です。
なお,センターマーク(中央上部やや右寄りの黒い丸)がわかりるように
露出しているのでスパイダーは殆ど写っていません。

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2010年5月13日 (木)

GS-200RCファーストライト

B10_05_131_2
昨日届いたばかりですが早速GS-200RCのテストを行いました。
レデューサーの入荷が遅れているので全て直焦点です。

主な確認項目は
・眼視での光学性能
・バランス位置
・イメージサークル
・オフアキでガイド星が見つかるか

光学性能は,恒星の焦点内外像やピント位置付近での微妙な見え方を検査しましたが
かなり良いようです。まだ送られてきたままで光軸が若干ずれていることや
昨夜はシーイングが極端に悪かったので,光軸の追い込み後改めてテストしてみます。

バランスは写真の位置でとれています。使用したカメラは軽いので重たいML8300等で
オフアキを使う場合はさらに5cm~10cmほど前にずらす必要があるでしょう。

イメージサークルは下の写真のとおりです。
67のピントグラスをつけて撮影しましたが,中央の円が15φなので35mm判フルサイズ
でも問題ないでしょう。
(撮影に使った2インチスリーブ用アダプターの内径が40φ弱なのでそれで
少し蹴られているようです)
なお,バッフル内径は2インチです。初期モデルはバッフルの内径が細いそうです。

ちなみに写真の鉄塔は私の部屋や屋上から見えるので極軸望遠鏡の調整や昼間の
碍子を使った星像?テストなどで重宝しています。
B10_05_1321
心配したオフアキでのガイド星ですが問題ありませんでした。
1秒露出でも今回のテストでは全てで見つかりました。カメラはAtik-16ICです。
通常はレデューサーを使うと思うので全く問題ないでしょう。

最後に実際にオフアキシスガイド撮影したM104の写真です。
シーイングがボロボロだったのでピントのピークが全く解りませんでした。
黄砂の影響もありお恥ずかしい写真です。
ガイドも良くありませんがこれはドームに出入りした際,屋上の床が揺れたためです。

100513_2
Atik-314L+で600秒1カットのダーク,フラット補正なしです。
ノイズが少ないですね。
このカメラの良いところを見ていただきたくて載せました。(笑)
クリックでピクセル等倍で表示します。


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