今日はVELOCE RH200の光学系についてご説明いたします。
本来なら最初に触れるべきですが三回目になってしまいました。
この光学系はイタリアのMassimo Riccardi博士が設計したもので
補正板(正確には収束系の凸レンズ),裏面反射の主鏡,副鏡(補正板中央にメッキ)
補正レンズからなります。
補正板が収束系なので主鏡は有効口径の20cmより小さくなっています。
鏡筒はそれらのエレメントを確実に保持するためアルミ合金を削り出し加工しており
副鏡(補正板)の保持機構に温度補償機能を持たせているとの事です。
これに容易な光軸調整機構とそのまま撮影に使えるフォーカサーを有しています。
1枚目の写真で補正板の奥に見えるのは鏡筒と一体構造の絞りです。
(上記のイラストとは若干仕様が変更されています)
光学的特徴は何と言ってもF3の明るさと広写野です。
フルサイズの周辺までほぼ完璧な星像で多くの作例が発表されています。
中でも,網状星雲やM31の写真には驚かされます。
好みの問題ですが,スパイダーの光状が出ないのですっきりした写真になり
気のせいかも知れませんが星々の色が良く出ているようです。
20cm反射で70万円強なら非常に高価といえますが
高性能屈折望遠鏡と比較すれば決して高いものではありません。
RH200は中央遮蔽が55%もあるので
計算上の有効径は167mmで実効Fは3.6になります。
控えめにみて15cmF4とした場合
それに見合う高性能屈折望遠鏡や望遠レンズと比べればむしろ安価です。
写真の15cm屈折望遠鏡は非常に高性能ですが
レデューサーで明るくしてもF5,6程度なのでRH200の2倍以上の露出が必要です。
平日の夜に自宅の庭先でHαで撮影する場合や
一晩で作品を撮り終えたいときなどこの差は大きいと思えます。
輸入商品の場合,このところの円安への移行期に発売するのは
タイミングが悪いのですが,メーカーの協力で価格を抑えており
特にRH300の220万円は円高時に購入された場合と変わりないほどです。