海外遠征

2023年10月16日 (月)

皆既日食と南天の星

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早いもので4月20日のエクスマウス日食から半年が過ぎました。日食はこれまでに見たことのない素晴らしいものでしたが,南天の星見も充実した楽しい旅行でした。

通常の日食ツアーはホテルに宿泊するため,オーストラリアで起きたケアンズやセデューナ日食でも星見との両立は叶わず残念な思いをしましたが,今回の経験をもとに天文リフレクションズの編集長と「皆既日食と南天の星」を両立するツアーの検討に入りました。個人的には今後の日食遠征はオーストラリアに絞る予定です。

 

上のマップは2040年までにオーストラリア付近で起きる皆既日食帯を表していますが,日食大陸と行って良いほど集中しています。直近でも2028年7月と5年も先の事ですが,今年のエクスマウス日食も5年前に下見しています。下見していなければ今回のツアーも実現しなかったかも知れません。

来年から下見を行いますが機材のテストも兼ね,天文リフレクションズの編集長ほか数人で2月3日~11日までワディファームに遠征します。(下見行動するのは2人だけで他の方はワディ滞在)

ツアーではなく仲間内での撮影旅行ですが,確保したワディの部屋に1室2名分の余剰があります。一緒に南天の星を見られたい方はご連絡いただけると幸いです。受付は10月31日までで詳細はメールでご連絡します。諸事情で旅行を取り止めました。10/28追記(それまでに定員に達した場合は締め切らせていただきます)写真がないと寂しいので4月にワディに行った際の虹をアップしました。この先を右折すればワディファームです。

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2023年5月 2日 (火)

プロミネンスと彩層に縁取られた太陽

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皆既日食は「黒い太陽」と称されますが今回の日食は食分が浅かったため(1.003)太陽のほぼ全周にプロミネンスや彩 が見えました。

このプロミネンスと彩相はとても明るいので,肉眼で見てた人は「赤い太陽」に見えたようです。

撮影データ(No.1594):EOS Ra,ISO200,EXP1/1600S,PENTAX105SDHF+タカハシED1.5X(合成焦点距離1,050mm),90S赤道儀

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ロンドンブリッジで撮影した逆さオリオン,月と金星

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今回の日食は西オーストラリア州北西部のエクスマウスで観測しましたが,エクスマウスからの帰路は海岸線を通らず内陸部を走りました。

写真は最も内陸部に入ったサンドストーンと言う町にあるロンドン・ブリッジ - Google マップ で撮影したものです。

先日紹介した写真とほぼ同じ構図ですが,こちらは月明かりの影響が小さくなるまで待ってから1分間追尾撮影したものです。

中央に逆さのオリオン,その上にはシリウスとカノープスが並んでおり,月と金星の横にはヒアデスが写っています。右上の星はプロキオンと火星です。

撮影データ:D810A,ISO1600,EXP60S,SIGMA14-24 F2.8→14mmF2.8,ゴニオ赤道儀で追尾,LEE No2ソフトフィルター併用

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2023年4月30日 (日)

西オーストラリア遠征から帰国しました

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西オーストラリア遠征から帰国しました。

今回の遠征は,4月20日の皆既日食がメインですが,内陸部での星野撮影も行ったため長期間となり,期間中ご不便をおかけしてしまい申し訳ございません。本日からいただいたご注文へのご案内を行っておりますのでよろしくお願いいたします。

写真は遠征最後日にワディファームで撮影した横たわる銀河です。太陽活動が活発なためか銀河の下側の空が緑色になっています。

2000年5月に西オーストラリアのヤルグーに撮影したこの写真と同じで現象でしょう。この時も太陽活動が活発でした。

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2023年2月27日 (月)

軽量化したFOA-60用TB-60/52ASについて

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こちらの記事で紹介していた軽量化したFOA-60用の鏡筒バンド,TB-60/52ASは在庫が2個になりました。完売後の再入荷は5月の予定です。

写真は今年4月の西オーストラリア日食遠征のサブ機です。軽量化したFOA-60,三脚,ジンバル雲台,ゴニオステージ赤道儀一式で5kgです。(カメラボディは含まず)

写真ではD810Aをつけていますが実際はフォーサーズ機で4K動画を撮影します。フラットナー仕様のFOA-60は焦点距離が500mmなのでフォーサーズでの撮影にピッタリでしょう。

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2019年7月 4日 (木)

地球の裏側で見た皆既日食

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アルゼンチンのビジャベスタ(チリのラ・セレナ東約200km、高度約2,000m)で観測した皆既日食は素晴しい天候に恵まれました。紹介する皆既中の写真は本影錐の様子が良くわかります。アンデスの山々と糸杉の並木が良いアクセントになってくれました。

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2019年4月27日 (土)

ワディの撮影機材(架台など)について

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海外遠征で一番の問題が機材の重量制限ですね。現在,私たちが利用するシンガポール航空では預け入れが30kg(エコノミー)までです。以前は20kgだったのでずいぶん楽になりましたが,それでも赤道儀や三脚などを含めるとかなり制限されてしまいます。

以前の20kg時代は行きの重量チェックは厳格でなかったので40kgほど持ち込んでいましたが帰りのパース空港のチェックは厳しいので赤道儀など重たいものはパースの倉庫に預けて帰るようになりました。

そうしているうちに現地に預けた機材は次第に増え,90S赤道儀が3台,GP-D,SP-DX,スカイメモが各1台になっています。(一部は他のメンバーの所有品)これらの三脚やバランスウエイト,延長ケーブルなどの電源周りを加えると100kgほどになるでしょう。これらの一部は共用機として開放しますが,写真は到着した日の午後に整備しているところです。

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これは今回の90Sを使った撮影風景です。先日紹介したPENTAX105SDHFも搭載しました。二日目は強い風でしたが大きな影響もなく撮影できたのは90Sのおかげです。構造上自動導入はできませんがメジャーな天体ならカメラのファインダーで導入できるので支障ないでしょう。今回はハンドコントローラーさえも使わずクランプを緩めて手動で導入していました。

今回,新たにAMD-2で2軸電動化した90Sをもう一台投入する予定でしたが,共用機は自動導入仕様が好まれるので見送りました。(その代わりPENTAX105SDHFと10kg分のバランスウエイトを投入)次回に自動導入仕様のEM-100を持ち込む予定です。

このために不要となったAMD-2仕様の90S赤道儀を売却します。AMD-2を装着した赤道儀本体(グレーのソリッド,程度は並み,追尾確認済,オーバーホール済)と三脚架台、ウエイトシャフトが付属します。(三脚とウエイトはなし)価格は消費税,送料込みで150,000円です。極望のレチクルは古いままですがご希望の場合は15,000円で最新(1985-2015)に交換いたします。

ご購入いただきました。2019.4.28追記

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2019年4月25日 (木)

ワディファームについて

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今回の遠征で滞在した西オーストラリアのワディファームについて紹介します。

写真は夜間の撮影に備え各自が陣取ったところです。椅子や机に加え,写真に写った範囲全てにAC240V電源を供給しているのでパソコンを使った撮影もできます。初日にセッティングし滞在中はずっとこのままで,疲れたら部屋で休めるなど撮影環境は恵まれています。

今回の遠征には天文リフレクションの編集長も同行され特集記事が掲載されています。特にこれから南半球遠征を計画される方には役に立つ情報が満載ですよ。

 

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私が初めてワディファームのお世話になったのは2000年の5月だったのでちょうど20年前です。施設内の樹木も大きくなったように感じます。左の建屋が今回渡した泊まった1,2号室で,左がシャワールームなどです。

 

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前後しますがここがワディファームの入り口ゲート?です。この奥の宿泊施設まで4.8kmあるので歩けば1時間かかる広大な敷地です。敷地内にはプライベート空港もあります。

 

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1,2号室の前に観望用の10.5cm望遠鏡を組み立てたところです。1~4号室はシャワーやトイレはないために共同施設を利用します。5~9号室はシャワー,トイレが完備され快適です。(現在9号室は利用不可)

 

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ワディでの食事は自炊です。これは初日のバーベキューパーティの様子。

ここは食事が自炊だったり,たまに断水もするなど,生活環境はよくありませんが広大な施設を貸し切り状態で使える環境が好きです。撮影よりも南天の星やおいしいワインを楽しみながら,ゆっくりと過ごす時間に惹かれ度々訪れています。

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2019年2月21日 (木)

フォーク式のポータブル赤道儀

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4月の西オーストラリア遠征用として片持ちフォーク式のポータブル赤道儀
(自動導入仕様)を作っています。
基本構成は機材テスト用として屋上に設置しているものと同じで極軸側が
回転ステージの流用,赤緯側がハーモニックドライブモーターです。
重さは約5kgなのでポータブル赤道儀としては限界に近い重さでしょう。

この赤道儀は写真の200mmF2~300mmF2.8クラスを搭載するものです。
この程度のレンズならどこに向けても干渉せず,南天の極付近の長時間
撮影にとしても便利です。
 

フォーク式の場合,極軸に大きなモーメント荷重がかかります。
カメラとレンズの重さが5kg程度なので,極軸側にかかるモーメント荷重は
フォークの重さなどを加えると2kgfm(30cmの位置に7kg)ほどになります。
写真の回転ステージでは少し荷が重いため,本意ではありませんが
ウォーム軸とホイールのかみ合いを少し緩く調整して対処しています。

一方,赤緯側はハーモニック減速機付きの2相ステッピングモーター
(PKP262FD15AW-H100S,許容モーメント荷重約10Nm(1kgfm))を
使っています。
このモーターの軸受けは4接点ボールベアリングなので同サイズの
クロスローラーベアリングを使ったハーモニックドライブに比べると
1/3~1/7ほどの強度しかありませんが,赤緯側に掛かるモーメント
荷重は0.75kgfm(15cmの位置に5kg)なので何とか許容値内です。

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2018年1月22日 (月)

南天でのハーモニックドライブ赤道儀テスト

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出張のもう一つの目的はハーモニックドライブ赤道儀(以下HDEQと略)を
西オーストラリアへ持ち込み南天での各種動作や追尾テストです。
テスト用としてCRUX170HDが3台,CRUX200HDAが1台,それにお客様の
CRUX170HDが1台,合計で5台のHDEQが集結しました。
(写真はテスト用を3台並べた状態で,撮影用は別のエリアに設置)


夏場の西オーストラリアはシーイングが極めて良いのでHDEQ本来の追尾
状況が確認できます。
韓国や日本の空はシンチレーションが±2秒ほどあるのでその環境下では
追尾の振れがシーイングなのかHDEQの影響なのかを見極めできません。

また,CRUX用のスタンドアローン自動導入コントローラーTITAN TSCの
南天での実機試験やPEC機能の評価も行いました。
北天でもシミュレーションできますが実際に南天で行えば予期せぬ不具合も
洗い出せます。
ちなみにTITAN TSCは観測地を設定すれば北天/南天の追尾方向は
自動で切り替わります。

一枚目の写真は,手前から動作や PEC確認のためのFC50+CRUX170HD
中央が長焦点オフアキガイド確認用の25cmダルカーカム+CRUX200HDA
奥がFSQ-106ED+CRUX170HDです。(以下も含め写真は拡大します)

 
これらのテストの立ち会いは商用電源が得られるワディファームで3夜予定
していましたが悪天候のため最終日の金曜日だけしか行なえていません。
私の撮影もあったために詳しい結果は後日確認しますがCRUX200HDAの
OGA結果は±1秒角以下,170HDのPEC追尾は±3秒角ほどのようでした。
(私が実際に確認したときは大マゼラン星雲の撮影中だったので赤道付近
ではもう少し大きくなるかと思います。
韓国からはサイクロンの影響がなかった2日前からと私達が帰国後に
さらに2日滞在しているので多くのテストを行っています)
 


以下は25cmダルカーカム+CRUX200HDAとFSQ-106ED+CRUX170HDの
アップです。この25cm鏡筒は鏡筒バンドなどのパーツを取り外すと7kgほど
になり機内に持ち込み運んだそうです。(サイズ上は少しオーバーしますが)


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